一陣の風を思わせる走り。



 あんなに小さな身体なのに、自分の何倍もある相手に果敢に立ち向かう。
 自分も身体が大きい方では無いが、身長、体重共に悪くは無いと思っている。



 だが、もし自分が彼の様に小柄だったら?アメフトはやっていただろう。
 でも、今の様なプレイは出来無いのは確かだし、今ほど様々なプレイヤーと対戦出来ていたかは解らない。
 だから純粋に、彼の力に感動した。スピードだけでなく、戦う意志。僕等に勝った彼の強靭な精神力。
 其れを考えた時が最初で、多分最後だった。





 赤羽隼人は、小早川瀬那に恋をした。






 彼の名前を聞くと胸が高鳴る。
 彼の笑顔を思い出すと全身の熱が上がる。
 息切れしそうな激しい動悸に軽い微熱。治せるのは君しか居ない。
 君が居てくれればそれで。



 幾度伝えようとした事か、その度に見たくない未来が見えてしまって思い止まる。



 君が好きで好きで、愛していて、だから怖い。
 君に拒絶されたら生きていけないよ。





 嗚呼、君に会いたい。









 #1 動悸・息切れ・微熱
 (僕はいつかこの熱に焼かれて死ぬのだろう)